近年、注目されている「幸福度指標」は、1972年のブータン王国が示したグロス・ナショナル・ハッピネス(GNH)が有名であり、これは持続可能な社会を実現するための新しい方向性として物質的な側面である国内総生産(GDP)よりも、心の豊かさに着目した概念でとらえられた指標として多くの国が注目を集めてきました。おりしも、グワァンダ国王夫妻の来日もありましたが・・・。
世界的な調査では、2006年に英国レスター大学の社会心理学者エードリアン・ホワイト教授らが実施した研究があり、その研究結果においては、日本の「国民の幸福度」が178ヶ国中90位という衝撃的な結果が大きく報道されたことは記憶に新しいところです。
この幸福度指標は一種の物差しであり、このような状況が進展しているかを評価するための手段です。幸福度に光を当てる意味は、個々人のこころの在り様に注目し、国、社会、地域がどのような状況にあり、何処を目指そうとしているか、といった点を皆で議論し、考えを深めることにあると考えられています。
昨年12月には、新成長戦略として、新しい成長及び幸福度に関する「幸福度に関する研究会」の推進を盛り込むことも閣議決定されました。
荒川区では、2005年より「幸福度」を尺度に、ブータン王国に職員3名を派遣・研修をさせ庁内検討会を経た後、2009年、公益財団法人荒川区自治総合研究所が設立され、子どもの貧困問題をテーマとした「子どもの幸福度」の研究最終報告書や、「荒川区民総幸福度(GAH)に関する研究プロジェクト中間報告書」が作成されました。
設立の背景は、近年、区民の実感度として調査・データは集計するも、区民の価値観や地域の課題の多様化から十分な研究・分析が行政だけではなかなかなしえないものと考え、早稲田大学の協力を得て、シンクタンクとして専門機関を設立し、区民の主観的な指標と客観的な指標となる「平均寿命」「要介護度出現率」「待機児童数」等のデータを合わせて、分析・研究報告を受けることから、より施策への反映度を高めることを目的としているとのことです。
練馬区も例年「区民の意識意向調査」を行い、「区の施策および評価」の項目では、住みこごち・定住意向・区施策の満足度等の声・数値が示されていますが、近年の人口急増、個人や地域等の価値観の多様化の中で、この調査方法で足りうるとお考えなのか、また、区民の実感度・幸福度としてデータをより分析される手法があるのか。新成長戦略に盛り込まれた「幸福度への研究」を、区として今後どのように進められていかれるのか、合わせてご所見をお聞かせください。と一般質問をします。
70万人の人口数を抱える練馬区。区民の幸福度の価値観も様々となり、実感度をどのように図るのか。実施数・費用対効果・総合的な研究が必要ではないでしょうか。「幸福ですか?」と聞かれると、一笑している方もおられるか、と思います。でも、自身に問いなおしてみて、「幸福です」と答えられるような行政サービスの指標の姿勢は、今こそ練馬区も大切ではないかと思います。
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