会派から14分間の割り当て時間で、平成25年度予算会計の意見表明をしました。
意見表明全文です。
一昨日の3月11日で東日本大震災から2年が経過しました。被災地の復興は遅々として進まず、いまだに31万人を超える人たちが避難生活を余儀なくされています。私たちとしても、引き続き被災地のために出来る限りの支援を行い、さらに、震災を教訓として足下の地域防災力の強化のために努力してまいりたいと存じます。
平成25年度一般会計予算案は2318億5050万円と、前年度比1.9%増となっていますが、平成20年のリーマンショック以降、区税収入の落ち込みなどから区財政は悪化しており、区は昨年度に引き続き枠配分予算3%マイナスシーリングを実施するとともに、「選択と集中」基本方針として、徹底した無駄の排除に努めてきたとしています。こうした「節約」については一定評価しますが、現状は依然として厳しく、経常収支比率は平成23年度決算で89.5%と、適正水準とされる70%から80%を大幅に超えており、今後も当分の間は改善を見込めない状況にあります。こうした状況を打開するために、まずは景気回復が必要との立場から、国においては様々な経済対策が行われていますが、仮に一定程度経済状況が好転したとしても、それが所得に反映し、さらに税収増につながるまでには相当のタイムラグがあると考えられ、選択と集中の徹底は引き続き重要です。
歳入面の問題に加え、高度経済成長期に急速に発展した練馬区では、区立施設の老朽化が進んでおり、今後、改修・改築に莫大な経費が必要になります。区の「施設白書」によると、平成27年度から36年度までの10年間に発生する区立施設の改修・改築費用は2100億円に達するとされており、1年間に換算した210億円という額は平成23年度決算の投資的経費233億円の9割に相当します。
さらに、「財政白書」によると、扶助費の額は平成20年度の480億円から平成28年度には71.3%増の822億円に達すると推計されており、今後の景気動向に拘わらず、これらの経費は間違いなく区の財政を圧迫するものと考えらます。
このように、今後ますます区の財政需要が増す中で、持続可能な財政運営を行うためには、これまで以上に「必要なところに効率的な予算配分」を行うことが重要で、聖域を設けずにすべての事業を改めて精査する必要があります。とりわけ、総額100億円といわれる各種の補助金の中には、時代とともに必要性が疑問視されるものが少なくなく、既得権の壁を乗り越えて、廃止を含めた大胆な見直しが不可欠であり、ややもすると「あれもこれも」になりがちだった議論から、限られた財源の中で「あれかこれか」の議論に転換する意識改革が必要です。
また、扶助費については、財政白書の中に、これまで増加の一途をたどってきた「子ども医療費助成制度」についての言及があり、予算特別委員会でも見直しを示唆する議論がありました。今後、社会・経済的弱者に配慮しつつも、補助金や扶助費については受益者負担を原則とする見直しが行われるべきです。
以上の観点から、持続可能な財政運営のために、これまで以上の努力を重ねることを要望し、平成25年度各会計予算に賛成の立場から、以下、各款ごとに意見ならびに要望を申し上げます。
●都区財調、財政計画について
アベノミクスの経済効果が区民生活や自治体財政に反映していくには、時間差があることから、区の特色や社会資源等を研究し、独自性の産業活性に努力され、納税力を高められたい。 経常収支比率89,5%は、緊迫を要する課題として対策を講ずる努力をされたい。 区の資産である施設に係る経費等を年単位で公開し、今後の財政圧迫が予想されることから、施設の在り方も区民との合意形成のもと、負の遺産とならないよう努力されたい。
●議会費、総務費について
職員の健康管理には十分配慮されたい。 法令に基づいた安全衛生委員会を開催し、職員の時間外労働、メンタル疾患に対する対策を検討されたい。 要援護者名簿を活用した訓練の強化をされたい。行政評価委員会を拡大し、区民参加の高まる評価体制を構築されたい。
●区民費、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療会計について
自動交付機や、コンビニ収納など機械化や委託化を進め、出張所の窓口機能の見直しをされたい。 区の人口が70万人規模であることを踏まえ、区民事務所を増設されたい。 区民サービスの拡充を常に念頭に置き、行革に取り組まれたい。 フリーター、ニート、スネップらの生産人口世代の増加が見込まれることから、皆保険の制度崩壊が懸念される。加入の意義などの啓発に努められたい。 後期高齢者の生活の質と医療との関係においては、「生きる質」を重視し、医師の処方箋に向けての過剰な調剤とならないよう調査・研究を図られたい。
●産業経済費、地域文化費について
季節湯事業を拡大し、銭湯を地域コミュニティ創出の場として活性化されたい。 地場産農産物の活用を引き続き区が率先して使用し、商店街と農業者が連携を図れる場を支援されたい。 買い物支援事業の移動自転車販売は、区の特徴的な産業であり、農を広めていくために効果的であることから、実施区域の拡大を図られたい。 町会掲示板に対する、防風雨対策を検討されたい。
●保健福祉費、介護保険会計について
地域包括ケアシステムとして、地域ケア会議を充実させていくことは、ケアマネの育成となり、地域づくりから見えてくる地域課題の発見や地域の資源の活用ができるためのネットワーク形成の構築を積むことから、迅速に地域の中の個別課題が解決できるためにも、ケア会議の充実を図られたい。 乳児と同居している喫煙家族の禁煙支援策に多くの方に参加していただき、禁煙に成功できるサポート体制となるよう努められたい。特定不妊治療助成については、柔軟な助成方法を検討されたい。また、一般不妊治療の助成をされたい。災害時のペット対策については、より具体的で実効性の高いものとなるよう努められたい。介護給付費の適正化に向けては、保険者練馬区としての指標を持ち、事業者の育成・指導に丁寧な対応を心掛けられたい。区民サービスとして始めた休日・夜間診療も、対応医師の確保が今後の改題と考える。今後のあり方も含めた対策を図られたい。
●環境費、都市整備費、土木費、公共駐車場会計について
運輸部門のCO2削減対策として、電気自動車のインフラ整備に努められたい。 保谷駅周辺のまちづくりに期待する区民の思いは大変大きい。都と西東京市を含め関係機関と連携を図り進められたい。 みどりバスの南大泉ルートの変更については、区民に対し見えるよう広報をされたい。 自転車保険加入状況を調査し加入促進に努力されたい。 自転車駐輪場の長期停車車両に対して対策を検討されたい。
●教育費について
体罰は絶対に許されることではないことから、小中学校や区内で活動するスポーツ団体に対し徹底されたい。 学校施設は、災害時に避難拠点となることから防災整備の充実をされたい。 太陽光パネルの設置、整備については民間事業者を活用する屋根貸し方式の導入を検討されたい。 緊急一斉メール連絡網システムの運用開始の際はスムーズに行えるよう取り組まれたい。 図書館サービスの在り方として図書館サポーターの育成、活動支援の充実を図られたい。 区立図書館、学校図書館への児童閲覧用新聞の配置拡大をされたい。
●こども家庭費について
休日保育は利用方法や対象者拡大等、費用対効果の視点も必要と考え、ニーズ調査からシステムの見直しされたい。 乳幼児健診の受診から見える家庭の状況を把握し、子どもの育成・支援・保護に向け、全庁的な連携強化をより心掛けられたい。 都に対し児童相談所の設置や機能強化の要望をし、権限の在り方も含め自治体として対策を強化されたい。 こども医療費助成については、安易な受診により助成費用が増大していることから、受益者負担の在り方も含め、制度の見直す時期と考える。 第三子誕生祝い金事業を廃止する自治体もあることから、区においても廃止を検討されたい。
●公債費、諸支出金、予備費、一般会計歳入について
犬の登録件数と狂犬病接種率向上については、ペットショップやペットフード取扱事業者と連携し取り組まれたい。 新型インフルエンザ対策については、企業など関係機関と連携を図り取り組まれたい。 ねり丸の活用については、ねりコレと連携を図り、取り組まれたい。また、区民との接触機会を増やされたい。 高齢者の社会参加については、高齢者が区の活動を知る機会を増やし積極的に取り組まれたい。
意見表明の最後に申し上げます。今回の予算特別委員会でも再三取り上げられましたが、区立小中学校など多くの施設で建築基準法上の「完了検査」を受けていなかった問題、さらには仮設建築物が期限をすぎて違法状態で使用されていた問題は、許認可権限を持ち、本来は法令順守をチェックする立場にある行政としてあってはならないことであり、猛省を求めます。今後も原因の徹底的な究明を進めるとともに、こうしたことが二度と繰り返されないよう、綱紀粛正を求め、意見表明を終わります。