2月7日より3月14日まで 練馬区議会定例会が行われたいます。私は、会派代表しての一般質問をしましたので、掲載させていただきました。明日以降に、区からの答弁を入れていきますので、よろしく。
まず、区財政ならびに区長の基本姿勢について伺います。
政府の月例経済報告は、昨年9月以降「景気は穏やかに回復しつつある」としていましたが、年明けの1月には「景気は穏やかに回復している」と4カ月ぶりに上方修正されました。国の経済動向については区としても「政府のデフレ脱却に向けた総合的な経済対策により、企業活動や個人消費に改善が見られる」としています。
一方、1月25・26日に共同通信社が行った全国世論調査によると、「安倍政権の経済政策で景気が良くなった」と実感している人は24.5%だったのに対し、「実感していない人」は73.0%に上り、区内の中小事業者などからも、未だに「景気回復の実感がない」という声が多く聞かれます。
アルゼンチン・ショックに端を発する新興国の金融不安は、ギリシャ危機ほどの影響はないとされていますが、少なくとも短期的には円高・株高傾向が見られました。さらに、4月の消費増税による影響も未知数で、決して先行きは楽観できません。
そこで伺います。区は、昨年来の経済情勢をどのように捉え、来年度予算編成に当たられたのでしょうか。まずお聞かせください。
練馬区の平成26年度予算案は、一般会計の総額が2391億3100万円、前年度比3.1%、72億8000万円の増で過去最高規模となっています。
平成20年のリーマン・ショック以降、歳入が伸びず、厳しい財政運営が続いてきましたが、26年度予算に関する限り、主要財源である区民税および特別区交付金は、それぞれ前年度比3.3%、4.4%の増収を見込んでおり、将来負担につながる特別区債や繰入金は、それぞれ前年度比マイナス12.7%、マイナス31.7%と大幅な縮小させることができました。
とはいえ、平成24年度決算における経常収支比率は89.8%まで悪化しており、その一因である社会保障関係経費は今後も増え続けることが予想されています。 さらに、区の施設白書によれば平成27年度から平成36年度までの10年間に要する施設の改修・改築費用は2100億円に達すると試算され、これが一層区財政の圧迫をさせていくことが予測されます。
そういう意味でも、決して区財政が一息つけたとはいえず、2391億円余の予算は、景気の好転を背景とした積極予算とはならず、増え続ける社会保障関係経費に対応するために最低限必要な額であったと推察をしています。
そこで伺います。平成26年度予算における一般財源の増収は、たまたま経済が上向いた時期に重なったものであり、悪化を続ける経常収支比率の改善や平成27年度以降も増え続ける経費に対応していくためには、好調な経済が続いていかない限り難しいと考えますが、区のご所見をお訊かせください。
また、区の財政のもう一つの懸念材料として、今4月に消費税率が5%から8%に引き上げられるのを機に、区の歳入のおよそ3分の1を占める特別区財政調整交付金の原資である法人住民税が一部国税化され、平成27年度以降、区の歳入に大幅な減収が見込まれていることです。
これについては、法人住民税が一部国税化される一方で、消費税の地方分が現行の1%から1.7%となり、差し引きの影響は少ないという見方もありますが、地方消費税が増える分については、消費税法上、「社会福祉施策に充てること」と明記されており、自治体の自由度が低いことから、マイナス面の方が大きいという見方があります。
自治体運営の原資は「税」であり、自治体がどのような公共サービスを供給すべきかを決めるのは、本来、納税を通じてその経費を負担する住民や企業であるべきです。このような観点からすれば、自治体に必要な財源は可能な限り地方税で賄うべきであり、地方主権に反するという点からも、区としてはこうした動きに反対の意を唱えていくべきと考えます。この点について区はどのようなご見解をお持ちでしょうか。併せてご所見をお訊かせください
厳しい財政状況が続く中、これまで区は「選択と集中」を唱え続け、事務事業の総点検などを通じて一定の成果を挙げてこられたと思います。しかしながら、増え続ける社会保障関係経費など今日的財政需要を考えた場合、実際に削減できた額は、とても十分とは言えません。
持続可能な財政運営のためにも、総額100億円近くに及ぶ各種補助金の再点検も必要と考えます。また、これまで見直しの対象とされなかった「第3子お祝い金」「子ども医療費助成費」「高齢者いきいき健康事業経費」などの扶助費も含め、聖域を設けずに点検する必要があると考えます。ご所見をお聞かせください。
次に、企業と地域の協働について伺います。
企業が事業活動において利益を優先するだけでなく、地域社会との関係を重視しながら、企業が果たすべき社会的責任として取り組むCSR活動は、1980年代から企業間で活動が盛んになり、自社の社会的な存在意識を模索する中で、多くの企業が積極的に取り組むようになりました。
この背景には、企業戦略のひとつとして、企業活動の国際化が進み、アメリカ国内では「良き企業市民」として、進出している企業にも地域社会に貢献するよう求めたことから、日本企業もその影響を受け、積極的な展開をするようになったとのことです。
国内においても、多くの企業が行政や区民と連携を図り、地域の交通安全対策、環境対策、福祉対策や災害対策等幅広い分野にわたり、阪神・淡路大震災、東日本大震災以後から積極的に社会貢献活動に取り組む企業が急増しています。
その背景には、多くの企業が、社会貢献活動に対して単なる慈善行為やボランティアとして考えるのではなく、本業の活性化や社員教育として捉え、社会貢献活動の取り組みが、企業価値自体をも高めることになる、と考えたことから、ボランティア休暇制度を導入し、社員が社会貢献活動に取り組みやすい環境整備に努めてきたためと言われています。
未曾有の災害・超高齢化・人口減少社会・税制見直し等、行政課題・地域課題により、税収減の状況が想定される当区としても、今後は、区民・企業・行政がこれまで以上に力を合わせて、協働し課題に取り組むことが重要になると考えます。区のご所見をお訊かせください。
現在では、既に、行政や地域で抱えるさまざまな課題に対して、企業と積極的に協働に取り組んでいる自治体が数多くあります。
例えば、静岡市では、企業と行政が両輪でまちづくりを進める「市民まちづくり活動促進条例」を施行し、多元的なニーズに対して、市民・企業、行政が、特性に応じて、「新しい公共」の概念を共有しながら行政課題として取り組んでいます。札幌市では、平成20年より「まちづくりパートナー協定」を制定して、コンビニエンスストア、飲料メーカー、ショッピングセンターの企業らが店舗スペースの一部を提供して、福祉作業所の物販、パネル展示やポスター掲示の協力をしていくことや子どもたちの職場体験活動、交通安全教育を開催していくなど、環境対策やさまざまな分野に取り組んでいました。
和光市では、市民とともに地域の社会活動を行う企業を「和光市企業市民」と認定をして、市民と企業の地域防犯パトロール、清掃活動、お祭り、イベントなどの開催をしていました。
横浜市では、社会貢献活動の貢献状況を公共工事入札時の総合評価への加点対象とし、企業の貢献活動を高めていくという先駆的な施策がされていました。
当区においての区内企業と行政との協働に対する取り組みは、平成22年策定の「練馬区区民との協働指針」に明記されています。ですが、区民との協働や活動はよく取り組まれているものの、企業と行政との協働事業については、相談窓口が不明確であること、企業自身の認知度も低いことから活発とは言えません。
長期計画最終年を迎え、4月には練馬産業振興センターも開設されます。これからは、行政からの提供だけではなく、CSRの意識のある企業やNPO法人・パワーアップカレッジ卒業生、社会福祉協議会も含め、地域の社会資源やマンパワーの相互活用をしていく体制も必要と考えます。そのためには、まず社会貢献活動に対して企業らが参加・連携しやすい体制への構築を行うべきと考えます。区のご所見をお訊かせ下さい。
次に、食物アレルギー対策について伺います。
昨年の厚生労働省の調べによると、食物アレルギーでのアナフィラキシーになった児童・生徒が49,855人で9年前の2.7倍に急増しているとのことです。食物アレルギーは、乳児期では10人に1人。大きくなるにつれて治るものと小学生以降になっても3%は何らかアレルギーがあるといわれています。そして、食物アレルギーで怖いのが、東京都調布市でおきたアナフィラキシーショックにより死に至ってしまったことです。
この出来事から、文部科学省では、全国の小・中学校を対象に食物アレルギーの実態調査を行い、平成24年度の抽出調査では、90%が食物アレルギー対応をしているものの、誤食やアドレナリン自己注射薬「エピペン」を使用したことがある等も含め、食物アレルギーによる出来事が全国で一日10件程度は起きていることが見えてきたとのことです。
これらのデータを下に、有識者会議では、患者数の急増に、現場の対応が難しくなっていることや再発防止に向けて、平成20年の「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」の見直しと対応マニュアルを学校ごとに作成するよう求め、また、教員向けの啓発資料作成や教員研修の強化などが示されました。
当区の区立小・中学校の食物アレルギー対策については、家庭からの「問診票」の提出と、更に、医師の診断を要する「学校生活管理指導表」の提出があり、平成24年度の食物アレルギーを有する児童・生徒の件数は882件とのことでした。
近年では、食物アレルギーの場合は、血液検査より、数口食して変化を調べる「食物経口負荷試験」が良いとされています。また「OAS口腔アレルギー症候群」という季節の原因花粉の植生と食物が、反応してショック症状となることや成長によるアレルゲンへの体質変化もあることから、正しい医師の診断と診断書等の提出は、子どもの命を守るであり、食育や必要な栄養摂取を考えた給食を提供していく上でも重要と考えます。そこで伺いますが、問診票や管理指導表の提出後、在籍期間の経過確認調査等はどのように管理されているのでしょうか。ご所見をお訊かせください。
また、子どもたちを預かる教職員の現場への精神面や様々な負担軽減対策も重要になります。厚生労働省は、エピペンを学校などで本人が注射できない場合、教職員らが打つことは違反にはならない、との解釈を示めしています。ですが、ここ数年の疾患者数の急増に、これまでは対応しきれていた状況も、万が一、ショック状態となった場合の注射を打つ判断や急変した場合の対応や責任問題など、様々な不安を抱えています。学校給食も自校式となり、民間委託がされていく中、食物アレルギー対策への必要な環境整備、マンパワーの不足があってはならないことから、これらの様々な現場の不安を払拭していくことも区の責務と考えます。区のご所見をお訊かせください。
次に、子どもの健康とアレルギー疾患対策について伺います。
乳幼児期の代表的アレルギー症状として、乳児アトピー性皮膚炎や鼻炎の疾患が主ですが、成長や環境の変化によりアレルギー症状も変化をしていきます。それだけに、育児をしながらアレルギー症状への軽減をも行うためには、正しい知識と専門的なアドバイスは重要となります。
乳幼児期の保護者は、育児への不安も多い中、特に、子どもの食物アレルギー症状に対しては、受診や対処・除去療法を行い、必要な栄養素の摂取にも神経を使います。「早く治したい」「悪化させたくない」という強い思いもあることから、アレルギー症状の出ない食物までも「厳密な制限」をしてしまうことや、逆に、成長の過程で食物の除去を解除し、食べてもよい食物種類もなかなか与えることができないなど。食べさせ方への悩みを持っている家庭が多いようです。そのためにも、正しい知識と成長に合わせた栄養や発達への相談窓口や機関が必要です。現在の状況を含め、ご所見をお訊かせください。
また、当区には多くの保育施設があり、現在の公的機関の保育施設については、各家庭より、かかりつけ医からの「食物アレルギー除去食指示書」を提出してもらい、提出件数が、昨年より1.1%増加した409件とのことです。現在、区内には認証保育所をはじめ家庭福祉員など合わせても100か所以上あり、今後は、待機児ゼロに向け入所整備がより拡大されていくことから、当区の子どもを預かる機関等への食物アレルギーに対しての情報提供や連携をより積極的に心掛けていただきたいと思います。
このように、食物アレルギー疾患を持つ子どもたちへの健康と成長過程には、アドバイザーになる、かかりつけ医は重要となります。ところが、ホームページ上の情報では、区内の食物アレルギー関連の病院・クリニックが365か所あると検索されましたが、症状に応じた検査や療法へつないでいく専門的な診療所情報までには至りませんでした。
それだけに、食物アレルギーを持つ保護者に向けた検査や診療所の情報、正しい知識、災害時への対応や地域・周囲の理解には、医師会との連携が必要と考えます。区のご所見をお訊かせください。
次に、禁煙支援事業についてお伺い致します。
平成 22 年度から練馬区薬剤師会との協働事業である「禁煙支援薬局事業」は、参加者が6カ月後の完全禁煙達成率 34.9%という成果をあげた先駆的な取り組みとして他自治体からも注目をされてきました。
また、平成25年6月からは、「こんにちは赤ちゃん訪問事業」に取り入れ、妊婦や乳児のいる同居家族の喫煙者への禁煙支援事業として行われています。
家庭内における受動喫煙防止の必要性については、赤ちゃんが突然亡くなってしまう乳幼児突然死症候群をはじめ6割以上が妊婦自身や赤ちゃんの周囲の喫煙と関係があり、流産、早産、死産、低体重、知能の発達遅れや肺炎、喘息、中耳炎、小児がんなど受動喫煙が影響していることが報告されています。また、乳幼児の事故第1位はたばこの誤飲により死に至る場合もあることから、妊婦や乳幼児のいる家庭に禁煙支援をすることは大変重要であると考えます。
現在の支援内容は、「こんにちは赤ちゃん訪問」をした 一 歳の誕生日の前日までを期限として、禁煙スタート券2,000 円相当とパンフレットを配付していくというものです。ですが、配布数は1月までの400件だけと、平成24年の練馬区の出生数は5.887人から考えると、配布数が少な過ぎると感じています。
また、区が調査した乳幼児を持つ30~40代の子育て家庭の同居の喫煙者の割合が40.3%の2,300人になる、との分析がされましたが、その世代からの申込件数が1月現在で、わずか5件に留まっていることから見ても、この事業が円滑に進んでいるとは言い難い状況です。これら対象者に対しては、どのような情報提供をされているのでしょうか。
そして、現在、禁煙補助剤8週間分の費用に 23,000 円ほどかかることから、禁煙スタート券2,000 円の補助金額では、自己負担が 21,000 円しかならないことも申込件数の少ない原因の一つとなってはいないでしょうか。
このような結果をどのように分析されているのか、併せて区のご所見をお訊かせください。
岐阜県郡上市では、妊婦が夫を禁煙に導く10カ条を考案し、禁煙を途中で挫折していかないように岐阜大学と共同開発した6分もののオリジナル受動喫煙防止DVDを啓発用に作成、母子健康手帳交付時に視聴してもらうか、配布をしていました。
内容は、家庭における受動喫煙の実態や数値を映像化したもので、喫煙が流産や早産、子の突然死、中耳炎などのリスクを高めてしまうことへのデータや喫煙者の呼気には有害物質が含まれており、ベランダ・玄関等の室外でドアを閉め切って喫煙しても、室内に入る時にはタバコの煙も一緒に室内に流れ込んでしまうことや、喫煙時、体内に入った煙が会話の際に流れ出る実験様子など、分煙への限界を示し、夫や同居家族に理解と受動喫煙防止の協力を求めている啓発DVDとなっています。そして、妊婦健診の際には、視聴と感想を聞き、母乳に与える影響等の説明をしながら、妊婦と夫の喫煙状況を確認していくなど、しっかりとした取組みがされていました。
このように、妊娠、出産をきっかけに、たばこをやめる時期と捉え、禁煙に向かう情報提供や指導方法の工夫が、事業継続を行う上でも重要になると考えます。区のご所見をお訊かせください。
最後に、50代からの「老い支度」について伺います。
2040年までに一都三県の75歳以上人口は10年比でほぼ倍増し、90歳以上は2.5倍で最も人口が増える年齢層となる試算がされ、当区では、2030年までの65歳以上人口は15万人の推移になるとのことです。そして、今後の人口増加率を考え、様々な高齢者施策を提供していくことは重要な課題としてどの自治体も取り組んでいると思います。
そんな中、足立区では高齢者対策の一つとして、50代から老い支度を考える「老い支度読本」の改訂版が15,000冊発行されました。
誰もが、50代は、働き盛りで、まだまだ子育て中の人もいれば、親の介護が始まる人もいるなど『老い』に正面から対峙するのはまだ先では。と考えがちになりますが、若いつもりでも、健康面や生活面などに大きな変化を迎える節目の年代でもあり、少しでも若いうちから、自身の将来設計を考えていき、充実した老後の過ごし方への意識・準備ができる「老い支度」は50代がちょうど良いというものからでした。
改定版では、「孤立ゼロプロジェクト」の取り組みや生活習慣病予防の食事などのページを追加充実し、心構えと地域の社会資源の情報も知ることが、いざという時に、安心して老後を過ごすことができると提案しており、A4判96ページと容量はありますが、50・60・70代ごとに、「こころとからだ」「お金」「つながり」「住まい」「人生」「エンディングノート」等、テーマ毎に15の話しから関心のあるページに入るようになっていました。
区内における平成23年度の50代の特定健診受診率は、男性は20%、女性は30%代と平均42%より低い状況や、総務省でもパラサイト・シングル子・スネップと言われている親と同居の35~44歳壮年未婚者が295万人16.1%となり、昭和55年以降年々増加をし、それが、45~59歳の高年層まで拡大しているとの推移をしています。
親を介護する世代が10年間の親の介護を終えた時には、自身も高齢期の世代になっています。これらを考えた場合、現実的な準備をはじめる際のヒントや慌てることない「こころの準備や意識」を50代から啓発していくことは、大事な視点となります。またそれを高齢者施策担当の所管が行っていることも重要なことではないでしょうか。足立区とほぼ同じ統計を持っている当区としても、第二の人生の節目となる50代をどのようにみるか、また、足立区の取組みについて区のご所見をお訊かせください。
これで、私からの一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。