区政レポート2008年冬号からの抜粋です。よろしければこちらもご覧ください。
委員会において、区長にぶつけ、それに対する行政側の答は以下となるのですが、「GISは分かりにくい」という区民の方々の声も少なくありませんでした。そこで、当会派レポート編集部の女性スタッフからの率直な疑問に答える格好で、噛み砕いて掲載いたします。
女性スタッフK(以下Kと略す)GISが地図的なもので実際に行政としてシステムを導入しているとのことですが、本当のところ、よく理解できていません。
白石けい子(以下白石と略す) GISとは地理情報システム(Geographic Information Systems)の略称です。文字や数字、画像などを地図と結びつけて、コンピュータ上に再現。位置や場所からさまざまな情報を統合、分析、分かりやすく地図表現したりすることができる仕組みでなので、行政や市民生活やビジネスの現場で幅広く利用することが可能ということですね。
K それがなぜ今必要なのですか?
白石 今、練馬区の人口は七十万人を超えました。区民への意識調査で、特に力を入れてほしいという施策の第一位が「防犯・防災・防火」、第二位が「高齢者福祉」、第三位が「交通安全対策」となっています。区職員の数が5千人強の中、ほぼ区外からの通勤者が占めている実体の中で、区長が日頃から言っている「自助・共助・公助」に、このGISが大きく関わってくるのです。
K と言うことは?
白石 実は、このGISこそが、行政が政策立案をする上での公助の役割と、区民が知り得たい情報が共有化することでの地域を自ら守れる共助の役割に大きな力を発揮していくのです。
K 例を上げていただけると助かります。
白石 例えば、地域性の特長を小学校区や町丁目別に人口密度・高齢者数・日中夜間の人口数・住居の状況など、それぞれの細かな情報を必要に応じて地図の上に重ね合わせていくことで、その地域にあった予測や事態への対応が迅速に行えるのです。
施策への計画が立てやすいという利点を見つめれば、行政(区長)の姿勢である「区民を守る」ということに、つながることなのではないかと私は確信しています。そこで私は区長に質問したのです。
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以下に、防災対策を一例にして、委員会での質疑応答を一部再現してみました。
白石 東京都防災会議(平成十八年五月)において被害想定が決定されました。「東京湾北部M7.5の地震」時での練馬区での被害数が出ていましたが、具体的な地域・場所への被害数は予測できているのでしょうか?
防災課長 東京都が具体的な地域の被害想定データを公表していませんので、現時点では地図に落とし込む作業は不可能なのです。この問題は今後の研究・調査という形になっています。
白石 先日のNHK報道で、ニュージーランドでは、活断層の上に家が建っていることを政府(行政)が情報として市民に伝えていくことで、いざという時に市民自らの心構え(自助)ができるので、市民も情報の公開に好意的にとらえられているとありました。東京都は把握しているが、練馬区は知らない……というわけにはいかないと思います。GISの整備・発展には個人情報保護法が大変関係してくると思いますが、その場合の手続きは?
情報公開課長 区民の方の個人情報を落とし込むとなれば、ご本人の同意がすべての基本となるでしょうが、すべてそうかというと、そうでもございません。条例上では、練馬区情報公開および個人情報保護運営審議会というものの意見を聞いて、それで必要であるということになれば、個人情報をほかの目的に使うこともできますので、手続きとして、そのような手段を踏めば可能でございます。
K なるほど。いずれとも、まもなくとも、大地震の発生がテレビの特集番組などで話題になっていますね。その予測不可能な災害の起こった時に、GISが整備されていると、二次災害を最小限に食い止めることができるということなのですね。それで、これだけページを割いたわけですね。私も「GISのさらなる整備」に注目していきたいと思います。ありがとうございました。