練馬区議会議員 (4期)
白石けい子
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会派代表の一般質問をしました。

私たちの会派を代表して、今回は、倉田れいか議員が質問をしました。

特に、私の行った内容は、広聴制度の機関のあり方についてと児童相談所の区への移管についての取り組みを聞きました。

練馬区議会 民主党・無所属クラブを代表し、一般質問を行います。区長並びに関係理事者の誠意ある答弁を求めます。

はじめに、平成26年度予算編成など区の財政についてお伺い致します。

11月の月例経済報告は、9月、10月に引き続き「景気は、緩やかに回復しつつある」とされており、企業収益は大企業を中心に改善し、個人消費もいわゆる「駆け込み需要」の効果もあって、持ち直し傾向にあることは間違いないようです。

雇用情勢についても持ち直しており、政府が大企業に賃上げを要請し、一部の企業が春闘における定期昇給や一時金の引き上げに応じたことも好材料といえるでしょう。

しかし一方では、アベノミクスは一部の大企業や富裕層にしかメリットがないとの批判もあります。中小企業中心の区内事業者からは相変わらず業績が回復しないという声も聞かれ、企業の業況が所得には直接反映しない年金生活者はもとより、現役世代からも未だ「景気回復の実感がない」という声が多いという現実もあります。

賃金についても、生産拠点の海外シフトが進む中で直接メリットを享受する社員が減っており、今後、賃上げの対抗策として企業が非正規雇用を増やすような事態になれば、全体としての効果は上がらないでしょう。

 

こうした経済状況が区の財政に与える影響を想定すると、景気回復による法人住民税の増収や消費税増税による地方消費税率のアップは確実に増収に繋がり、短期的には歳入増が見込まれます。

ただし、消費税増税が景気を一気に冷え込ませる可能性を否定できない他、政府が行っている地方法人課税の見直しの方向によっては財調の原資である法人住民税にも影響が及ぶ可能性があり、中長期的に見れば区の歳入が増える保障はありません。

まず、お聞きしますが、区長は区を取り巻く現在の経済状況をどのように捉え、来年度予算をどのような視点に立って編成していくお考えかお答えください。

 平成20年のリーマンショック以降、練馬区の財政は景気低迷による歳入減と歳出面における扶助費等の増大により、年々経常収支比率が悪化し、平成24年度には89.8%と過去最高となりました。

 さらに、区の財政白書によると平成23年度に698億円だった扶助費は、平成28年には822億円に達すると見込まれています。増加分の多くは、リーマンショック以降の景気低迷と今後の高齢化に伴う生活保護費の増加を見込んだものですが、加えて、昨今の保育施設や介護施設に対する需要増加も考慮しなければなりません。

また、高度成長期に急速に発展した練馬区では、区施設の老朽化が進んでおり、練馬区施設白書によれば、平成27年度から平成36年度までの10年間に要する区の施設の改修・改築費用は2100億円に達すると試算され、1年間に換算した210億円という額は平成23年度の投資的経費233億円に匹敵します。

 以上のように、区の歳入は短期的には増える見込みですが、仮にアベノミクスがある程度の効果を上げたとしても、中長期的に区の歳入が劇的に増えるとは考えにくく、一方で扶助費の増大や施設の改修・改築は避けて通ることはできません。

 このように、限られた歳入の中で、義務的経費が増えていくという状況にあっては、今まで通りの財政運営を行っていくことは不可能であり、これまでかかってきた事業費のどれかを削らなければならないと考えますが、この点について、区はどのようにお考えでしょうか。

 

区はさらなる「選択と集中」を進めていく観点から、平成24年度からの2年間を「事務事業の総点検期間」と位置づけ、全事務事業の抜本的な見直しを実施していますが、その進捗状況と現時点で想定される具体的な見直しの内容をお示しください。

 

総額100億円弱におよぶ補助金については、平成22年度から24年度の見直しによって、10事業の廃止と3事業の縮小などを行いましたが、8つの新規事業などもあり、結果として24年度予算における補助金は23年度当初予算と比べて105千万円増えています。

 補助金を伴う事業についても、事務事業の総点検の中で見直されるものと思いますが、厳しい財政状況にあって、まずは自助努力という原則に立ち、不断の見直しが必要と考えます。

また、見直しにあたって、成果指標があった事業はわずかに65事業で、127の事業については成果指標がありませんでした。事業によっては指標の設定が難しいことは理解しますが、区自身が「補助金の公益性・必要性・透明性を確保するためには、効果を測定する成果指標を可能な限り設定することが大きな課題」としていますが、その後の成果指標の設定状況をお示しください。

 今回の補助金の見直しにあたっては、「子ども医療費助成費」「高齢者いきいき健康事業経費」など、実質的に補助金的性格を持つ事業でも、扶助費に分類されるものについては対象になっていませんでした。しかし、これらの事業のように、対象者が多く、廃止あるいは縮小した場合に痛みが伴う事業についても、公益性、必要性の観点から例外なく検討の対象とされるべきですが、区のお考えをお聞かせください。

 

次に、オープンデータの推進についてお伺い致します。

生活様式や価値観の多様化に伴い、区民の情報に対するニーズも多様化、高度化しています。そこで、情報提供については、社会情勢や情報通信技術の変化への対応が必要であり、近年ではオープンデータの推進が図られています。

オープンデータとは、国や地方自治体などの公的機関が保有する、公共データを広く民間に利活用できる形式で公開することで、ホームページ等でデータが公開されているだけではなく、多種多様なデータが利活用しやすく、二次利用が可能なデータ形式になっており、対象分野には、人口、地理、経済、健康、交通など多岐に渡ります。これには、ビッグデータやスモールデータなども含まれ、地域課題や問題意識の共有することで、優れた知恵を出し合い、新たなビジネスや人々の利便性の向上を官民協働で進めていこうとするものです。

政府では、今年6月に『世界最先端IT国家創造宣言』が閣議決定され、総務省においては、本年4月に平成2224年度版情報通信白書のオープンデータ化を行いました。誰でも複製、改変、頒布、公衆送信等のあらゆる二次利用が可能で、政府系白書では初の取り組みでした。

 

オープンデータの推進には以下3点のメリットが挙げられます。

まず1点目に経済活性化です。

 公共データをもとに、分析や加工等を通し新たなビジネスやサービスの創出、企業等の活動の効率化、更には経済の活性化が促されます。

また、オープンデータは数値情報だけでなく、画像や映像のコンテンツも含まれ、青森県の『あおもり映像コンテンツ・プロモーション事業』では、県内の観光名所や特産物、イベントなどの映像素材を県が自ら撮影、公開し、活用を促しています。県が著作権を持つことで県民、企業が自由に活用でき、学校教材としても利用が可能で、現在までに4000本あまりの映像データを保有し、地域プロモーションとして活用され、経済効果も表れているとのことです。

 

2点目に、住民参加、官民協働による公共サービスの実現です。

千葉市では、今年7月から地域課題の解決に向け、情報通信技術(ICT)を活用した『ちば市民協働レポート』の実証実験を行っております。これは、市民自らがスマートフォン等を使用し、位置情報つきの写真レポートをWEB上に投稿することで、市と情報を共有し、協働で課題の早期解決を図ることを目指し来年度以降の本格実施を予定しています。

このように、多種多様なデータの活用が可能となることで、官民協働で住民ニーズに対応した公共サービスの創出が可能となります。

 

3点目に区政の透明性、信頼性の向上です。

横浜市では、公開した公共データをもとに自分の納めた税金がどう使われているかを視覚化するウェブサイト『税金はどこへ行った?』が開発され、現在52の自治体に広がっています。

支出データなどの透明性を図ることは、区民に対する説明責任を果たすことや、事業分析が可能となる点においても有効であると考えます。

 

練馬区の長期計画においても、ICTを通じた行政サービスの向上とともに、区民と区、区民と区民の相互関係を重視した情報施策を推進するとしています。これまでも、保有するデータをホームページや、本庁舎の区民情報ひろば等での閲覧に供したり、刊行物等による提供も行われておりますが、多様な情報提供という観点からすれば一定の成果に留まっております。

 

区が保有しているデータは区民の財産とも言え、インターネットの普及、行政情報の電子化などを背景に二次利用が可能な形式で公開する情報資源の活用こそが課題解決にも繋がると考えます。そこでお伺い致しますが、二次利用が可能となるオープンデータ推進についていかがお考えでしょうか。

また、オープンデータを活用した区民、団体、企業等の活動の可能性についてどのようにお考えか、併せてご所見をお伺い致します

 

行政が保有するデータは信頼性の高い基礎データとして民間での利用ニーズが高いものの、現状はソフトウエアによる解析、処理が困難なデータが多く十分に利用されていません。オープンデータの利活用可能な環境整備を図るためには全庁的な共通認識で取り組む体制と一定の方針が必要と考えます。そこで他自治体に習って専門チームを設置し、可能な所からデータの公表を行っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。ご所見をお伺い致します。

 

次に、区民の声・要望の対応についてお伺い致します。区政に対する意見や要望は、生活全般から環境・福祉・教育・職員の接遇など千差万別で、昨年は1,944件が広聴広報課に寄せられたとのことですが、区民が直接所管の窓口に来た際の対応を含めると、かなりの件数が業務時間内にも寄せられていると推測できます。

行政も企業同様に「寄せられた意見や要望は宝である。」と考え、行政運営に反映できるよう、日々、誠意ある対応と接遇を心掛け、区民サービスの向上に努めていることと思います。他区の例としては、杉並区の五つ星区役所運動、中野区のおもてなし運動など、区民への理解と職員のモチベーションを高めている自治体もある程です。

 

しかし一方では、区民からの声を傾聴し、迅速な解決と理解がされるよう真摯に取り組んでいても、中には、なかなか納得されず、公平・公正の観点から応えられないような要望をされる方や、時には窓口で怒鳴るなどの暴力的な行為へ繋がってしまうケースも、近年では、多く見られるとのことです。このような事態になった場合、一職員の対応には限界があり、ましてや長時間の電話・窓口対応が、業務に支障を来し、区民サービスの低下や職員のモチベーションをも下げてしまうことは本末転倒であると言えます。

川崎市では、平成17年に「市民オンブズマン条例」を設置、管轄の範囲を明記し、第三者機関として、元最高裁判所長や元市長らが市民の代表として、調査・回答を示す事務局を担っているとのことです。

練馬区においても、区民の要望に真摯に対応されるも、庁内対応だけでは、区民の理解が得られないにくいことや、時には、専門的な判断と助言や毅然とした判断も必要になることがあると考えます。川崎市のように第三者機関を設置し、可能な管轄範囲を示すことが、職員を守るだけでなく、より良い区民サービスに繋がると考えますが区のご所見をお伺い致します。

 

次に、児童相談所の移管についてお伺い致します。

近年の児童虐待に関連する事件は10年前に比べ約6倍となり、また、児童福祉や虐待法の改正から児童相談所の権限と責任への強化がなされました。また、特別区長会の積極的な姿勢から、今後は1区一か所の設置に向け、東京都とも討議が行われることと思います。設置にあたっては、財源の問題や専門性の高い人材の配置など、解決すべき課題も多々あることは承知していますが、児童虐待対策は、義務教育や地域保健、生活保護、家庭内暴力(DV)対策など、区の業務と関わりが深いことから、区が一体的に担うことの意義は大きいと期待するものです。

 「金沢市教育プラザ富樫」では、市内に県設置の児童相談所に加えて、市独自予算で「こども総合相談センター」の児童相談所と「地域教育センター」「研修相談センター」の3センターを同施設内に設置し、各種相談窓口の一元化し、必要に応じて福祉部局と教育委員会などの関係機関が的確に連携しているとのことです。

練馬区内では、子育て支援センター5ヵ所、トワイライト6ヵ所、ショートスティ3ヵ所、更に光が丘地域には「子ども発達支援センター」、来年4月には「学校教育支援センター」も同地域内に設置されます。各施設の間には法令上の役割分担はありますが、実務的には重なる部分もあることから、体制の構築を精査していくことで金沢市のような連携が可能になると考えます。そこでお伺い致しますが、それぞれの子どもに関係する支援センターの連携はどのように構築されていくのでしょうか。また、金沢市のような体制を構築していくお考えはあるでしょうか。併せてご所見をお伺い致します。

 

次に区立小中学校の二期生の見直しについてお伺いいたします。

練馬区では、平成19年度から中学校、平成20年度からは小学校において二学期制度が導入され、5年以上が経過しました。その間、改訂された学習指導要領が全面実施され、練馬区の子供たちを取り巻く教育の状況は大きく変化し、教育課程にかかわる仕組みも見直しの時期にあると考えます。区民からも二学期制についてのさまざまな意見が届いており、教育委員会としても、今年度、学識経験者や区立小中学校長と保護者による「教育課程検証委員会」を立ち上げ、二学期制の成果と課題について話し合い、アンケート調査も実施したと聞いています。

 また、二学期制導入については、始業式・終業式・評価業務が各1回ずつ減り、年間の授業総時数が増え、従来よりも時数に余裕ができます。学期の学習時間が100日程になり、絶対評価の意義が生かされ、教員の事務負担の軽減による児童・生徒への直接指導が強化され、学校教育全体を見直すきっかけになるなど、十分な議論を重ね、他区の状況なども踏まえた結果のスタートだったと記憶しております。改めて練馬区において二学期制を導入した理由についてお聞かせください。

 また教育課程検証委員会において、現在の学期制の話し合いの状況と検討の結果をいつまでに示すおつもりか、併せてご所見をお伺い致します。

 

 節目ということから言えば、夏休みが終わった後に二学期が始まり、冬休みが終わった後に三学期が始まり、春休みが終わった後に、新学期が始まるというのが、日本の四季に合った、最も自然な形だと考えます。

 東京都23区において二学期制を全校で導入している区は、半数以下と伺っており、全国的に見ると、8割以上が三学期制であることや、平成15年導入当時は仙台を皮切りに全国的な導入が始まったことを受けて、二学期制賛同の流れが強くあり、とにかく導入をしようという気運でしたが、二学期制による子どもの学習能力には、特に変動はみられず、むしろ悪影響を与えていると考える教育関係者もいます。また文部科学省によると、導入した公立小学校の割合は、平成16年度の9.4%が平成19年度は20.2%、公立中学校も、平成16年度の10.4%から平成19年度には21.9%に増加したものの、右肩上がりはここまでで、平成21年度の調査では、小学校21.8%、中学校23.0%とわずかに増えてはいるものの、評価する声は減っており、中止する学校が続いています。

 横浜市では、平成16年までに約500の小中学校のほぼ全校が二学期制を導入しましたが、平成254月には、64の小中学校が三学期制に戻しています。長い夏休み前に通知表がなく、何を目標に勉強してよいのか、とまどう生徒がいたり、徳島市教育員会が実施したアンケートでは、小学校長の7割が三学期制の方が良いと答えたとも伺っております。このアンケート調査の結果をもとに三学期制に戻すことに対しての教育委員会のご所見をお伺い致します。

 

次に在宅医療と介護の充実についてお伺いいたします。

区内の高齢者人口は、平成27年には約15万8千人、全人口に占める割合の約21%になると推計されています。

また、高齢者のみの世帯数は、平成12年以降5年毎に約9千世帯増加しており、練馬区高齢者基礎調査によると、高齢者人口の約20%の方々は、病気や障害などで自立した生活に対して支障をきたしている現状にあり、今後も増加していくことが予測されます。

このような状況の中、区内の高齢者に関わる医療体制については、回復期リハビリステーション病床がようやく練馬駅北口に計画されたものの、療養病床数については区内人口10万人あたり79床しかない状況にあり、今後さらなる不足が見込まれます。

特別養護老人ホームの施設状況については、現在までに1、724床が整備され、長期計画最終年の来年26年度には2、062床の整備を目指しています。とはいえ、将来的な高齢者人口の増加や自立困難な高齢者の推移状況から考えると、引き続き病床数や介護施設を確保していくことも重要ですが、各施設の受入困難な状況から考えると、在宅療養に関する普及啓発活動を今まで以上に進めていくことが重要であると考えます。区のご所見をお聞かせ下さい。

 

医療、介護施設を今後も充実させていくことも引き続き必要ですが、限られた財源と限られた施設状況の中では限界があり、これからの高齢者療養に対して、大変重要な役割を担うのが、在宅医療・介護の連携と充実だと考えます。

しかし、国内の在宅医療・介護従事者は不足傾向にあり、厚生労働省の調べによると全国で訪問診療を実施している病院、診療所、訪問看護ステーション等の医療機関は平成23年現在で約2万8000ヵ所。介護人材については、平成12年度に55万人だった数のが、約10年間で149万人と倍以上となったものの、団塊の世代が75歳を迎える2025年には249万人と、現在より100万人以上の介護職員の確保が必要とされています。

国としては診療報酬の引き上げや在宅医療推進プロジェクトチームを立ち上げ、労働環境の改善や潜在的有資格者の再就職促進や、人材マッチクング等の、様々な施策を実施し、担い手不足の解消に取組んでいますが、このような、在宅医療・介護の担い手不足の課題は、練馬区でも同様に潜在化しているものと考えられますがいかがでしょうか。

 

練馬区では、在宅療養推進協議会を本年6月に設置し、医療関係者と介護事業者が協力体制を構築し、従前より課題とされていた在宅療養に関わる、医師、看護師、介護事業者の負担を軽減させ、チームとして在宅療養者を支援していく取り組みが検討され始めました。

現在の、担い手不足の状況から考えると、このような連携については一部の関係者だけで組織構築をしていくのではなく、区内全体の医療関係者と介護事業者を巻き込んだ、幅広い協力体制の構築が不可欠であり、体制の構築と合わせて、医療・介護職を離職された潜在的有資格者や他分野からの新たな人材に対しても、担い手として確保していくことが重要と考えますが、区のご所見をお伺い致します。

 

今後の在宅医療、介護を充実させていくうえでは、第五期高齢者保健福祉計画、介護保険事業計画で示されているとおり、地域の医療、介護、生活支援、介護予防事業を連携していく、地域包括ケアシステムの構築が大変重要であると考えますが、現在の第五期計画では将来的な具体像が見えづらい中、計画が進んでいるように感じます。区が考える将来的なケアシステムの具体像や目標時期に対する工程などについては、早期に示していく必要があると考えますが区のご所見をお伺い致します。

 

以上で民主党・無所属クラブの一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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